達人の服薬指導術 壱ノ型! 薬歴の患者メモに適応疾患を記載して、病態に応じた質問をしよう

 今回の記事では、なぜ薬歴の患者メモに適応疾患を記載するべきか説明する。患者メモとは、薬歴を開いた時、すぐに確認できる項目を指す。電子薬歴によって呼び名は違うと思うが、服薬指導をしている時に確認したい患者情報を集約している項目だと認識してほしい。

 現在加療中の疾患(現病歴)に適応疾患を記載しているケースはあるが、数回クリックしないと表示されなかったり、服薬指導に必要な情報が点在していると見にくかったりするので、服薬指導に必要となる情報を集約している項目として患者メモに記載した方が良い。患者メモを確認した状況で服薬指導をすれば、病態に応じた質問をできるので、服薬指導の質が向上する。

達人薬剤師
ハマヨ

「処方内容から患者の適応疾患がわからず、薬歴を何回も遡って確認した」

あなたは服薬指導をしている時、このような経験はないだろうか?

患者メモに適応疾患を記載する理由

 以下の処方内容だった場合、フォシーガやクラリスロマイシンの適応疾患はわかる? 薬歴を何回も遡って確認すればわかると思うが、服薬指導をしながらそんな時間はない。また、処方内容から推測した適応疾患で服薬指導をしたが、実際は違ったなんて事態は避けたい。

 適応疾患をすぐに確認できない状況で服薬指導をすると、「体調変化はありませんか?」といった当たり障りのない服薬指導しかできなくなる。または、薬だけを見て「下痢はしていませんか?」といった副作用の確認作業になる。しかし、この患者はCKDでフォシーガを服用中また慢性副鼻腔炎でクラリスロマイシンを長期服用中だとわかれば、「腎機能はどれくらいでしたか?」「鼻あたりの痛みはありませんか?」といった病態に応じた服薬指導ができるようになる。適応疾患をすぐにわかる状況にしておけば、咄嗟の判断でできる服薬指導の幅が広がるのだ。

 処方内容から適応疾患を推測できない薬が処方された場合、患者に適応疾患を聞いて、患者メモに残しておく。患者が現在、何の治療をしているのかすぐに分かる状況にしておくことが理想だ。この薬は何で飲んでいるのかな? なんて状況は避けたい。

達人薬剤師
ハマヨ

処方内容から容易に適応疾患を推測できる薬は患者メモに書かない。

情報が混雑になり見にくいので、以下の3つの薬を覚えておくといいだろう。

1.適応疾患が複数ある薬

 よく使われる適応疾患が2〜3つあり、処方内容からどの適応疾患で使われているのかわからない時は記載する。ただし、エンレスト配合錠のように適応疾患によって用法用量が違う薬、糖尿病治療薬と併用されているフォシーガのように併用薬から判断できる薬、耳鼻科から処方された抗アレルギー薬など、処方内容から適応疾患を推測できる時は記載しない。

例:フォシーガ、クロピドグレル、フェキソフェナジンなど

記載例

フォシーガ:CKD、クロピドグレル:脳梗塞、フェキソフェナジン:鼻炎

2.適応外で使われている薬

 処方内容から推測しにくい適応外処方または処方内容から推測できる適応外処方と違う場合、適応疾患を記載する。薬剤師が適応外処方だと気付かないこともあるが、患者の主訴と適応が一致しない時は、「エナラプリル 適応外」のようにググると答え合わせができるかもしれない。ただし、容易に適応外だとわかる処方内容であれば記載しない。

例:エナラプリル、アジルバ

記載例

エナラプリル:誤嚥性肺炎、アジルバ:尿蛋白

3.薬から適応疾患が判断つきにくい薬

 抗生物質や鎮痛剤などの長期連用で、患者がなぜその薬を服用しているのか処方内容からわからない時は適応疾患や使用用途を記載する。耳鼻科の薬は、薬から適応疾患が判断できないことが多いので、耳鼻科処方として何の治療をしているのか記載しておくと良い。ただし、短期処方で終わるような処方は記載しない。

例:ミノサイクリン、ロキソプロフェン錠、アデホスなど

記載例

ミノサイクリン:類天疱瘡、ロキソプロフェン錠:腰痛、耳鼻科:耳鳴り

達人薬剤師
ハマヨ

服薬指導をしている時、適応疾患は何だったかな?なんてことがないように。

その最低限の情報くらいはすぐに分かるようにしておこう!!

WORK①:薬歴の患者メモをどの項目とするべきか共有する
WORK②:3つの薬について患者メモに適応疾患を記載する

電子薬歴によって患者メモの名称は違うので、どの項目を患者メモとして扱うか薬局内で共有する。上記3つの薬について、患者メモに適応疾患を記載していこう。服用が終わった薬の適応疾患を消すなど、患者メモは常にアップデートを忘れないで。