治療目標は、患者の年齢・罹病期間・合併症の状態・低血糖の危険性・家族等によるサポート体制などを考慮して個別に医師が設定する。年齢ごとに、20〜65歳未満(妊娠中は除く)、65歳以上に分けて目標設定がされている。服薬指導時は、患者にHbA1cの目標値を必ず確認する。薬剤師の判断だけで、目標値を確認しないまま安易に言及しないことが大切である。
20~65歳未満の目標値
※妊娠中は除く
合併症予防とは、主に細小血管症を予防するためだ。細小血管症の予防には、空腹時血糖値およびHbA1cの適正化が重要である。また、大血管症を予防する目的もある。大血管症の予防には、さらに食後高血糖の適正化が必要だ。
脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、末梢動脈疾患、足病変など
65歳以上の目標値
※患者の状態により、HbA1c6未満を目標としても良い
日常生活動作(ADL)および抗認知症薬・重症低血糖の恐れがある薬の使用状況などで目標値は異なる。ADLは、手段的ADLと基本的ADLに分けられる。一部の糖尿病治療薬(インスリン、SU、グリニド)を使用している場合、HbA1cの下限値があることに注意する。ただし、グリニドは低血糖の恐れがある薬として扱われないことがある。
買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理など
着衣、移動、入浴、トイレの使用など
参考文献
糖尿病診療ガイドライン2019 糖尿病治療の目標と指針より引用改変
糖尿病診療ガイドライン2019 高齢者の糖尿病(認知症を含む)より引用改変
糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症など