治療目標は、患者の年齢、合併症の状態などを考慮して個別に医師が設定する。目標値は、診察室血圧と家庭血圧に分けられるが、薬剤師としては患者が血圧手帳などに記載している家庭血圧を重視すると良い。家庭血圧は、125/75未満と135/85未満に分けて目標設定がされている。服薬指導時は、患者に家庭血圧の目標値を必ず確認する。薬剤師の判断だけで、目標値を確認しないまま安易に言及しないことが大切である。
家庭血圧125/75未満を目標値とする患者
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
収縮期血圧 | < 130 | < 125 |
拡張期血圧 | < 80 | < 75 |
(単位:mmHg)
20〜75歳未満の患者(一部除く※1)は、脳心血管病予防のため厳格な降圧コントロールが求められるので、家庭血圧125/75未満を目標値とする。また、年齢に関係なく、糖尿病治療薬・抗血栓薬を服用している患者※2、狭心症・尿タンパク陽性の慢性腎臓病(CKD)患者※2も同様の目標値とする。
家庭血圧135/85未満を目標値とする患者
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
収縮期血圧 | < 140 | < 135 |
拡張期血圧 | < 90 | < 85 |
(単位:mmHg)
75歳以上の患者(上記の病態※2がある患者は除く)は、血圧低下による血流障害によって主要臓器への影響が出る恐れがあるため、寛容な降圧コントロールで良いので、家庭血圧135/85未満を目標値とする。ただし、75歳以上でも患者の状態により、家庭血圧125/75未満を目標値とすることがある。
20〜75歳未満の患者で、両側頚動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞がある患者※1は、血圧を下げ過ぎると、狭窄部位より先に血液が行きにくくなるので、家庭血圧135/85未満を目標値とする。また、尿タンパク陰性のCKD患者※1は、腎細動脈が動脈硬化を起こしている恐れがあり、腎臓へ血液が行きにくくなるので、同様の目標値とする。
参考文献
高血圧診療ガイドライン2019 高血圧の管理および治療の基本方針より引用改変
標準化eGFR:60未満またはタンパク尿等の異常が3ヵ月以上続いている状態